Story

交換日記から生まれる

出来事や取り組み

交換日記Daily Round Tripを通して生まれた取り組みを時系列に紹介します。私たちは日常の周遊を通してアイデアを集め、「凧をあげる」という希望を見つけました。2カ国の素材や技法を使い、3人の日常を織り交ぜながら凧を作ります。そして互いの国に行き来できる日が来たら共に凧をあげることを約束します。

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​交換日記から始まる制作

同じ頃にPhannaがプノンペンにきたお客さんを連れていくために、Kite Museumを訪れたことを日記に書いていました。日記を見ると、カンボジアの凧は日本と全然違う形でした。今井と山本はこれをみて、「もしかして私たちの実験している草木染めの布で凧を作れたりするのだろうか??」そんな好奇心が湧いてきました。

カンボジアの凧!

今井は家で育てている朝顔の花について、山本は横須賀の家で育てている藍でワークショップについて、Phannaは昼食について。日常の中の様々な出来事をDaily Round Tripに書いていきました。

​また、今井と山本は一緒にアトリエを借りていたこともあり、山本が普段から制作に使用する草木染めをアトリエ周辺の雑草を使って実験し始めました。

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横浜とプノンペンで凧を揚げる

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元々このプロジェクトは、日本とカンボジアに互いに行き、染色を用いた作品制作・発表を行うプロジェクトでした。

それが新型コロナウィルスの影響で渡航が難しくなったこと、そして家にいる生活が長くなり、それぞれが日常を再認識する中で、それを共有しながら自然に生まれてくるものを大切にするプロジェクトになっていきました。

​お互いの日記を交換しながら現れた中で出てきた「凧」というキーワードは、互いが対面で会えない中での一つの「希望」のような存在になりました。

そしてPhannaが今井の日記(子供の頃にやっていたピアノのこと)を読んで、自分の昔よくやっていた鍵編みのことも日記に書いてくれました。それを見た今井と山本は、Phannaの鍵編みの作品が凧の手元部分にあったらいいのではないかと考え、Phannaにオンラインミーティングで提案します。

「凧に向いている薄い布をカンボジアのシルクを草木染めにして、手元をPhannaの鍵編みの作品を使って凧を作り、横浜で揚げてみる。そして、ゆくゆくはプノンペンに行って3人で揚げてみる。」

そんな小さな夢がミーティングを通して生まれていきました。
 

凧制作へ

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私たちはアイデアをもとに動き始めました。

凧を作るには、薄い布がいいというアドバイスを凧の制作経験のあるアーティスト安田葉さんから教えていただき、それならカンボジアには良質なシルクがある!ということで、カンボジアのシルクを使用することにしました。

Phannaからシルクの写真が送られてきました!

​手織りのものや機械織のものを市場で見つけてくれました。

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シルクが届く前に日本にいる今井と山本も準備を始めました。

​山本は自身の住処である横須賀で玉ねぎで染め物のワークショップを行い、凧にもそれを使うことになりました。

Phannaからは、編んでいる様子が撮影された動画が送られてきました!これはPhannaが幼い頃から家族に教えてもらったカンボジアの伝統的な編み物だそうです。

​今回のプロジェクトでは、凧を持つ手の部分に使用したいと思っています!

カンボジアが凧を作る季節に、このプロジェクトも日本で凧を作ります。カンボジアのシルク、日本とカンボジアの染料、カンボジアの凧の知識や、Phannaのアートワークを合わせて、山本と今井がいよいよ凧を作ります。

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​またカンボジアの凧のかたちの資料も送ってくれました。カンボジアでは今まさに凧が作られる季節だそうです。(Phannaの日記より)

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​シルク到着!

カンボジアからシルクが届きました!

さっそくスタジオに集まって開封しました!

中には3種類の手織りのシルク、Phannaの編み作品もありました。

​これをどのように凧にしていこうか、ドキドキしながら染色の準備です。

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(↑)Phannaから届いたシルクと作品等!

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​カンボジア シルク×日本の草木染め

カンボジアのシルクを染めます。草木染めの材料は山本の住んでいる横須賀の玉ねぎの皮、横浜のスタジオの周りにある雑草、2017年にカンボジアでワークショップをやった時に購入した漢方の3種類を使用しました!

それぞれシルクとどのように染まるのか、、

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凧作り!

数日後のスタジオにて。シルクは綺麗に染まっていました!

​シルクの一部は光沢があって、まるで金のようです。とても綺麗です。

このシルクを凧にしていきます!山本と今井と話して凧の模様をきめて、抜い始めました。今井の母が何十年も前に使用していた刺繍のフレームも借りてきて少しずつ縫っていきました。

​凧の模様は、交換日記の中から抽出しました。玉ねぎや器や銀杏、ラグビーボールなど!それぞれの日常が凧に重なっていきます。

​お互いの家でも凧作りは続きました。

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凧揚げ!

凧を作り終え、凧を揚げに横浜の海沿いへの公園へ!

今日は生憎の無風、、でしたが、凧揚げに挑みました!年明けにリベンジする予定です!

偶然の凧との出会い!

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新年になりました。山本が個人的な用事で訪れた近所の田浦コミュニティーセンターで、館内の至る所に凧が飾ってあることに気がつきます。
館長さんがいらっしゃったので、「どうして凧がたくさん飾ってあるんですか?」と聞くと、「田浦和凧研究会っていう会があって、コミュニティーセンターで定期的に教室を開いているんです。会長は、山本さんの近所に住んでいる方ですよ!」と教えてくれました!なんと、近所に凧づくりの名人がいるとは驚きです。館長は、よかったら今度紹介するよ!と気さくに言ってくれました。

手作りの和凧を見せてもらう!

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田浦コミュニティーセンターの館長さんが紹介してくれて、田浦和凧研究会会長・石渡さんが山本のスタジオに遊びに来てくれました!自作したたくさんの凧を持ってきて、ひとつひとつ見せてくれました。一般的な四角い形の「角凧」、六角形の「六角凧」、エイのようなヒレがついた「エイ凧」、竹を曲げて形づくられた「丸凧」など、大小さまざまな形の凧!どれもとても魅力的です。

石渡さんは、凧作りで重要なのは「骨づくり」だと話します。骨は、竹でつくられた凧の構造のこと。石渡さんは、近所で竹を採るところから全て自分の手で行っています!なんと山本のスタジオから徒歩15分ほどだそうです。早速来週、連れて行ってくれることになりました。

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近所の竹藪にいく!

凧づくりに使う竹を取りにいく石渡さんに、山本が着いて行きました。近所だからと軽く考えていましたが、思った以上に急な山道に驚きです。手を使わないと登れない急な獣道です!83歳の石渡さんは、ぐんぐん登っていきます。10分ほど山を登ると、まっすぐで長い竹が生えるエリアに着きました。「ここがぼくの仕事場だよ」と石渡さん。このあたりの竹は、周りが谷で直射日光があたらないので、まっすぐな竹が育ちます。まっすぐな竹の繊維が、凧の骨づくりに最適だそうです。使う道具はのこぎりと縄だけ。のこぎりで20mほどの竹を切り、縄でしばって移動させます。それをトラックに乗る2m半ほどのサイズにカットして、午後になると持参したお弁当を、シダの葉のクッションの上に座って食べるのがお決まりの過ごし方だそうです。いつも、カットした竹の小枝などをきちんと掃除してから山を降りるそうです。竹が大好きなこと、山を大切にしていることが伝わってきました。

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凧の骨組みを作る!

横須賀の山本の家に集合して、石渡さんに私たちが作った凧に和凧の骨を付けてもらいました!さすが凧の職人さん。動きに無駄がありません。そして石渡さんは昔、実はお豆腐屋さんで、この地域を桶を持って徒歩で回っていたのだそうです!早朝に、お家から完成間近のお味噌汁のお鍋を持ってきて「このサイズに切ってください」というお客さんに、朝出来上がったばかりのお豆腐を賽の目に切ってお鍋に入れてあげていたのだそうです。そしてそのお味噌汁がそのお客さんの朝の食卓に上がる。そんな何十年か前にここで行われていた日常の話をしてくれました。

私たちも微力ながらお手伝い、、!

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石渡さんの丁寧な手作業に山本も今井も食い入るようにみていました。和紙を裏打ちして、石渡さんが3年前に刈って乾かした竹を使って骨を付けます。最後には凧をあげるときに使用する凧糸を角度を付けて取り付けました。なんと、この日はまたほぼ無風の日となり、、(なぜ?)本日は凧完成まで行いました!石渡さんによると凧は走らない、のだそう(笑)。なので今回は凧を揚げるイメージトレーニングを行いました!次回は、凧、揚げます!

Go To Phnom Penh

このプロジェクトは、互いの日常を周遊するように互いに少しずつ影響を与えながら、様々なものを生み出しています。それはとても些細なことですが、それぞれの日常を見つめ、それぞれの日常から発見し、それぞれの日常をつなぎ合わせていくことは大切なことだと思います。

 

私達は、2021年もカンボジアでの実践に向けて継続していきます。